おひとりさまの達人、原節子さん

カテゴリー 着物生活

 

小津安二郎監督の代表作ともいえる『東京物語』(1953年)

 

平凡な日常が丁寧に描かれているのは『秋日和』と同じですが、

『東京物語』では、生と死、家族の脆さ、老いなど、人生に潜む問題に切り込んでいます。

 

 

東京に住む子どもたちに会うために広島から出てきた老夫婦。

ですが、訪ねゆく先々で、邪魔者扱いされてしまいます。

 

長女に「熱海に行って来たら?」といわれ、安い宿をとってもらったものの、

修学旅行生が泊っているのか、夜はうるさくて眠れず、1泊で帰ることに。

 

 

行くところがなく、東京の街を見おろし、途方にくれる老夫婦。

 

それでも仲睦まじい二人にほっこり。

ふくよかな妻と、細い夫。

年をとって着物を着て夫婦で旅行なんていいですね。

 

 

実の子どもたちには邪険にされながら、唯一、親切にしてくれるのが、戦死した次男の嫁(原節子さん)

 

8年も前に夫を亡くしながら、いまだに一人でいる秋子(原節子さん)

亡き夫の両親にも、本当の親のようにやさしく接し、突然の訪問にも、いやな顔一つせず、「来てくださって嬉しいです」と笑顔を向ける。

なんてステキな女性なのでしょう!

 

 

 

原節子さんは小津監督の作品に多数出演され、似たような高潔な女性の役を多く演じています。

小津監督の理想とする女性像なのでしょうね。

 

 

でも、原節子さんご自身は、「うじうじした役ばかりで嫌になる」と言っていたそうです。

 

本当は、もっと意志の強い、精神の強い女性を演じたいと思っていて、

代表作や好きな作品を聞かれても、決して小津作品は挙げなかった、

 

そんなことが石井妙子著『原節子の真実』に書かれていて、とても面白い。

 

 

 

自分にくる役にはいつも不満をもっていて、演じたいと切望していた役は、けっきょく演じることができず、

42歳という若さで引退し、鎌倉の自宅でひっそりと暮らし、2015年に95歳で亡くなりました。

 

生活費は女優業で稼いだお金でまかない、質素な生活をし、ほとんど本を読んで暮らしていたそうです。

そんな隠遁生活を50年以上もされて、しかも長生きをされたわけですから、そうとうご本人は精神が強いのでしょうね。

 

「永遠の処女」といわれ、だれとも結婚せず、1人でい続けた、

そんな生き方を選ぶ原節子さんが、日常や家族のやりとりを丁寧に描く小津監督の作品に、どんな気持ちで出演されていたのでしょうか。

 

引退後の原節子さんは、人と会うことを断固として拒絶していたようなので、その生活は謎に包まれていますが、

かつて女優だった美しい女性が、人目に触れず本を読んで質素に暮らし、老いて生涯をとじる、

そんな日々を丁寧に描いた作品があったら、すごく観てみたいな~と思います

 

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