娘が母を嫌うとき
それでも母は美しく
『悪魔の手毬唄』岸恵子さん

カテゴリー 着物のコーディネート

昨日に引き続き、横溝正史原作×市川崑監督の金田一耕介シリーズをお届けします。

 

傑作として名高い1作目の『犬神家の一族』は、何度もリメイクされているメジャーな作品。

 

2作目の『悪魔の手毬唄』は、シリーズの中ではマイナーなので、あまり期待しないで見ましたが、

なんと1作目を上回るといっても過言ではない仕上がりでした!

 

 

個人的には、今回見た3作の中で、これが一番好きです。

 

なんといっても、岸恵子さんがとっても美しい!

 

煌びやかな着物を着ているわけではなく、作中ずっとはんてんを着て、あくせく働いているのですが、その姿がとても魅力的なのです。

 

温泉宿を切り盛りしながら、娘と息子をそだてる母を演じている岸恵子さん。

 

娘には生まれつき左半身に赤いあざがあり、いつも顔を隠し、人目に触れないように暮らしている、

そんな娘と母との関係が切なく描かれています。

 

作中、岸さんはずっと同じ衣装で、はんてんの前をしめていて、道中着タイプの衿なので、中に着ているものが見えないのですが、

終盤、衣装が乱れて、はんてんの前がひらいた姿が印象的でした。

 

 

真っ黒の着物があらわれて、いきなりいい女!

赤い八掛けと赤い別珍足袋が差し色になって、これまたカッコいい。

 

はんてんと別珍の色足袋を合わせるのって、すごく可愛いですね!

今年の冬は、フリースではなく、はんてんにしようかしら♪

考えるだけで暑いわ、、、

 

 

そういえば3年くらい前に、BSプレミアムで「岸恵子という生き方」というドキュメンタリー番組を見たのですが、

岸恵子さんご自身も、娘さんとはちょっと難しい関係性であることが垣間見れました。

 

岸さんの女優としての仕事には興味がなく、出演作品も見たことがないという娘さん。

 

娘さんはフランスで平凡な家庭の主婦という人生を選び、その子ども(岸さんの孫)は、岸さんが日本で有名な女優であることすら知らないそうです。

 

25歳のときにフランス人の男性と結婚した岸さんは、パリを拠点にしながらも、日本で女優の仕事が入ると、何カ月も家を留守にすることがあり、それが離婚のきっかけになったとのこと。

 

家族よりも仕事を優先する母に対し、娘さんはきっとすごく寂しい思いをし、母の女優という仕事を憎んだのかもしれません。

 

この番組では、娘さんがはじめて岸さんの舞台を見にくる様子が映し出されていました。

 

緊張した面持ちで、岸さんの楽屋を訪れた娘さんに対し、

岸さんは喜ぶどころか、厳しい表情で黙りこんでいました。

 

ものすごく気まずい空気。

 

娘さん以上に、岸さんのガンコさ、負けん気の強さが伝わってきました。

 

「母という存在だけでいい」という娘と、

「女優の私も知ってほしい」という母の、

相いれない思い。

 

 

その舞台は、岸さんご自身が執筆された小説『わりなき恋』の朗読劇でした。

番組を見て驚いたのは、このとき83歳という岸さんの年齢。

姿勢の良さ、毅然とした美しさに、圧倒されました。

 

もうこれは母の勝ちだと思いましたね。

 

 

岸さん、大人げないです。

でも、ものすごく説得力のある生き方ですね。

 

 

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